開き直った旦那と無敵な女に私がおこなった究極の復讐

愛する人の浮気が発覚したとき、最初にちょっとだけ絶望感が出て、次に出てくるのが怒りです。不思議なもので、怒りはそのまま原動力につながります。まずは証拠集めだ、と探偵気分。出てくる真っ黒な証拠たちに意外と冷静な自分がいます。

昔とちがって、いまの証拠はメールや写メなど。それらを自分の携帯に転送してとりあえず証拠は確保です。次に考えるのは現場をがっちりおさえることです。

こればかりは自分の力でやるのは限界があって、誰かに頼むことになります。とはいえ、プライバシー全開なことなので、知り合いに頼むのは気が引けます。そこで守秘義務ばっちりの興信所に依頼することになりました。

かかる費用に目がくらみつつ、頭の中は財産分与が減るな、というぐらい。この段階で愛なんてものは雲散霧消です。むしろはじめから、愛は幻想じゃないかと思ってしまいます。

依頼内容は裁判になっても通じるような確実な証拠集め。興信所の人は確約はしてくれませんでしたが、全力を尽くしてくれると宣言してくれました。結構な金額ゆえに、大船ならぬ豪華客船に乗った気持ちで結果を待つだけです。

その後、予想よりも早く結果が出てきました。興信所にとってはもうちょっと長引かせたほうが儲けが増えたのかもしれませんが、こちらは節約になって万々歳です。さて、渡されたものは写真が十数枚と編集されていない音声記録です。一応興信所の方が聞いてくれていたので、ポイント部分を説明してくれました。

ここで興信所とはお別れです。興信所の方は「とにかく冷静に」とアドバイスをくれました。ウキウキした気分が知らず知らずに漏れていたのかもしれません。弁護士に頼むのことも考えましたが、元々気の弱い旦那です。証拠を突きつければすぐに音を上げるだろうと思いました。ところが実際はそう簡単ではなかったのです。

窮鼠猫を噛むと言いますか、旦那は完全に開き直ってしまいました。つまり「慰謝料払わない」「離婚もしない」「裁判をするならしてみろ」と自分に酔いしれるように宣言してきたのです。こうなると焦るのはこちらのほうです。すんなり進むはずが、しょっぱなから挫かれたわけですから。

浮気相手の情報も完全に把握していました。しかしその女が弱点がないんです。たとえば会社員であれば社会的責任を取らすこともできるでしょうが、その女は無職。たとえば親御さんがいれば巻き込んで謝罪させることもできるでしょうが、その女は天涯孤独な上に金もない。つまり失うものがないんです。

開き直った旦那と無敵の女。これにはさすがに嘆息が漏れました。裁判して長引いても精神が疲弊するだけだし、満足に慰謝料が取れるかどうかの保証もない。旦那の会社に乗り込んで、やめさせたら気も少しは晴れるかもしれませんが、自分にとってそれほど利益もないと感じました。

そこから私はとんでもない行動に出ることにしました。いま思えば侠気の沙汰だったかもしれません。それは子を孕むというものです。

旦那には「すべて許す」と伝え、もう一度やり直そうと提案しました。そのときの旦那の優越感にも似た勝ち誇った顔はいまでも忘れられません。しかし、これは旦那を絶望に突き落とす序章だったのです。

ほどなくして妊娠しました。二人にとっては初めての子。旦那は大喜びです。自分の犯した罪をすっかり忘れて、アホみたいに喜んでいました。そして出産、すぐさまDNA鑑定をおこないました。結果は旦那との親子関係0%。そのときの旦那の歪んだ絶望の顔は至福の光景でした。

それから離婚はスムーズに進み、魂を抜かれたような旦那は私の言い分をほぼ飲み込んで、財産分与もおこなわれました。あのときは私もかなり狂っていたんだなと思います。