人探しを興信所に頼む場合の料金相場は、いくら?
警視庁の発表によると、平成27年に届出を受理した行方不明者は82,035人(前年比+1.0%)でした。例年8万人以上の行方不明者が発生しています。
実際には、行方不明になられた方すべての捜索願が出されているとは考えにくいため、行方不明者の実数はもっと跳ね上がることでしょう。
ネット上ではよく、毎年10万人ほどの人が行方不明になっていると報じられていますが、あながち嘘ともいえません。
しかし、行方不明者の70%ほどは、届け出から1週間以内に所在が確認されていますから、実際に行方不明になる人の数は、それほど多いわけではありません。
それでも、家族の誰かの行方がわからなくなった場合、あるいはそれほど深刻でなくても、初恋の人に会いたい、昔世話になった恩師の所在が知りたいなど、人探しの必要に迫られることもあります。
そこで、人探しを興信所や探偵事務所に依頼する場合のポイントや、おおよその料金、注意すべきことなどについてまとめてみました。
目次
人探しの3つの方法
人探しをする場合、大きく分けると3つの方法があります。警察に届ける・自分で探す・興信所を利用する、の3つです。
それぞれの特徴について、紹介しますね。
その1 警察に届ける
届け出が受理される条件
家族が行方不明になった場合などは、まずは警察に届けることになります。具体的には近くの警察に行き、行方不明者届(旧:家出人捜索願)という書類を提出します。
ただし、警察がすべての行方不明者の届け出を受理するわけではありません。届け出が受理されるのは、行方不明になった人と関わりが深い人だけです。
たとえば、行方不明になった人の家族や親族、一緒に住んでいる人、職場の雇用主や学校の教師などです。
初恋の人を探してほしい、喧嘩別れした友人や世話になった恩師や上司、かなり昔に生き別れになったままの家族を探してほしいなどの案件は、届け出自体を受理してもらえません。
一般行方不明者と特異行方不明者とは?
警察に届け出を出したからといっても、「警察が真剣に捜してくれない」といった話も、たまに耳にしますよね。
実は警察では、行方不明者届が出された際に、2種類に選り分けています。
ひとつは、通常の「一般行方不明者」、もうひとつは「特異行方不明者」です。このふたつのどちらに選り分けられるかによって、捜索の対応がまったく違ってきます。
「一般行方不明者」とは、事件性がないと判断された場合の行方不明者のことです。
具体的には、行方不明者が自分の意思で家を出た可能性が高いと思われるケースです。
たとえば、書き置きが残されていたり、以前から夫婦喧嘩が絶えず、出て行く前に大喧嘩をしたような場合です。
行方不明者届を提出したほとんどの人は、この「一般行方不明者」に分類されます。
一方、「特異行方不明者」とは、警察によって事件性があると判断された場合、または自殺など生命の危険が差し迫っていると判断された行方不明者のことです。
たとえば未成年者や低学年児童がなんの連絡もないまま行方不明になったり、遺書に自殺をほのめかすことが記されていた場合、重度のうつ病や精神障害の人で平素から自殺の恐れが高い場合、認知症のお年寄りが行方不明になっている場合、生命にかかわる事故に直面している可能性が高い場合、殺人・誘拐などの事件に巻き込まれた可能性が高い場合などです。
異なる警察の対応
一般行方不明者と特異行方不明者では、警察の対応は天と地ほど異なります。
一般行方不明者の場合、警察のネットワークに行方不明者の名前が登録されます。
それによって、警官による巡回パトロールや交通の取り締まり、少年の補導、なんらかの捜査の際に、たまたま行方不明者が見つかることがあります。
つまり、警察の通常業務を行うなかで偶然に行方不明者が見つかれば連絡が来る、ということです。
一般行方不明者では、警察は行方不明者の捜索活動を積極的には行いません。そのため、警察からの連絡を待ちわびている家族からすると、「警察はなぜ動いてくれないのか!」と不満を募らせることが多いのです。
しかし、特異行方不明者となると話は別です。捜査本部が設置され、警察の捜査員による調査が入念に行われることになります。
特異行方不明者の手配の有効期限は3ヶ月間です。必要があると判断された場合は、期限はさらに3ヶ月間延長されます。つまり、3ヶ月ごとに延長するかどうかの判断が行われる、ということです。
その2 自分で探す
ときどき駅前などで行方不明者の情報提供を依頼するビラや、ポスターを見かけることがありませんか?
チラシやポスターは、自力で行方不明者を捜すために、よく使われるツールです。
そこまでできなくても、心当たりの場所を探してみたり、なにか手がかりを求めて友人や知人に聞いてみることは、ほとんどの人がやっています。
最近では、ネットのSNSを使って情報提供を呼び込むことも行われています。
しかし、個人でできることには時間的・物理的な限界も多く、その効果も残念ながら薄いものです。
また、ネットで情報提供を呼びかけると、不特定多数の人に悪用されるケースもあります。
たとえばご主人が行方不明になり、女性しかいないとわかることで、その隙を狙って空き巣が入るなどの被害が出ています。弱みにつけ込んで詐欺を仕掛けてくる輩もいます。
心当たりの場所を探してみたり、友人や知人に聞いて回ることはよいとしても、それ以上に積極的に動くと、墓穴を掘ることにもなりかねません。
人探しをするのであれば、専門の興信所や探偵事務所を利用した方が安心といえるでしょう。
その3 興信所に人探しを依頼する
興信所が受ける調査で、もっとも多いのが浮気調査ですが、その次に多いのが「人探し」です。
それだけに、人探しについての経験とノウハウをもった興信所が、各地に存在しています。
よくテレビの番組で、養子に出された人が生みの母親と対面したり、初恋の人と何十年ぶりかで対面する企画がありますが、こうした人探しを実際に行っているのは興信所です。
いわば興信所は、人探しのプロです。素人には真似のできない調査能力を、興信所はもっています。
どうしても探し当てたい人がいるのであれば、興信所を利用することを検討してみるとよいでしょう。
興信所によっても対応は異なりますが、人探しは通常、2つに大別されます。ひとつが所在調査、もうひとつが行方調査、あるいは家出調査と呼ばれるものです。
呼び方は興信所によっても違ってきますが、たいていの興信所では、このふたつの人探しのどちらに属するかによって料金体系や調査方法が異なります。
所在調査
所在調査とは、対象人物の現在の住所や居所など、その所在を調べる調査のことです。
もちろん行方・家出調査でも、対象人物の所在をたしかめることが目的ですから、広い意味での所在調査であることには変わりありません。
では、その違いはなにかといえば、一般的に所在調査の範囲に括られるのは、対象人物が意思をもって隠れていない場合です。
たとえば、こんなケースです。
- 勤務先はわかっているけれど、住所がわからないから調べてほしい
- オンラインゲームサイトや出会いサイトなどで仲良くなった人の居所が知りたい
- 昔、お世話になった恩師や上司と連絡がとりたい
- 生き別れになったままの親族に会いたい
- 離婚して会えなくなった子供に会いたい
- 小・中学校時代の親友の居所が知りたい
- 初恋の人や、昔、つきあってた人と会ってみたい
このようなケースでは、対象人物が意図的に隠れているわけではありません。そのため、住所や電話番号などの手がかりがあれば、興信所のもつ独自の情報源をたどることで、対象人物の居所を調べることができます。
どれだけ広範囲に、どれだけ正確な情報源をもつのかによって、興信所の調査能力に差が生じます。
調査能力に優れた興信所であれば、聞き込み調査や尾行などを行うことなく、限られた情報を手がかりにパソコンを操るだけで、対象人物の居所を突き止められることもあります。
その場合は余分な手間暇や時間がかかっていない分、当然ながら調査費用を安く抑えることができます。
一般的に所在調査のほうが行方・家出調査に比べると、時間や労力をかけることなく解決することが多いため、料金設定も安くなっています。
行方・家出調査
一方、行方・家出調査となると、所在調査に比べて難易度が跳ね上がります。
行方・家出調査の場合、ほとんどの対象人物は見つからないように痕跡を消しながら、転々と居所を変えています。
単なる所在調査であれば、興信所から一歩も出ることなく、パソコンや電話を使うだけで対象人物の居所を突き止められることもありますが、行方・家出調査の場合は、その可能性はほとんどありません。
対象人物が意図的に隠れているため、その居所を探るには聞き込みをはじめとして、さまざな調査が必要になります。調査に要する時間や、調査に動員される人数も増えるため、所在調査よりも高い料金設定がされていることが普通です。
行方・家出調査の例は、次ようなケースです。
- 夫や妻が突然家を出て、行方がわからなくなった
- 息子や娘が恋人と駆け落ちして、連絡がとれなくなった
- 結婚を前提に交際していた人と、急に連絡がとれなくなった
- 知人にお金を貸したところ、いつのまにか引っ越したらしく居所がつかめない
- 遺産相続のために、居所のわからない親族を探してほしい
- 別居中の夫や妻が、居所を教えてくれない
- 痴呆症を患っている父母が、家に戻ってこない
身内の失踪や家出の場合は、まずは警察に行方不明者届を出すべきです。しかし、前述したように事件に巻き込まれたり、自殺など生命の危険がある場合を除いては、警察が積極的に動くことは期待できません。
そのため、興信所に調査を依頼することが一般的です。
行方・家出調査では、対象人物が身を寄せている場所がある程度わかっている場合や、失踪の動機などがはっきりしている場合は、短期間で所在を突き止められる可能性もあります。
しかし、たいていの場合は対象人物の友人や知人など、接触があると思われる人たちへの聞き込み調査や、対象人物が立ち寄りそうなエリアでの聞き込みなど、複数の調査員を動員しての地道な調査が行われます。
調査期間が長期に及ぶことも多いため、どうしても人件費がかかってしまいます。行方・家出調査では、料金はどうしても高額になりやすいのです。
興信所の人探しの対応についての大枠をつかんだところで、では、実際に興信所に人探しの調査を依頼した場合には、どれくらいの料金がかかるのかを、見てみましょう。
興信所でかかる人探しの料金と相場
興信所に人探しを依頼する場合、どのくらいの料金がかかるのか、そして料金はどのような体系になっているのかについて紹介します。
ほとんどが成功報酬+基本料金
興信所の料金の体系については、見積もり前に絶対に知っておくべき【興信所の費用】3つの料金システム にて詳しく解説してありますので、目を通してみてくださいね。
時間料金制・パック料金制・成功報酬型の3つの料金システムが、興信所の料金体系の基本です。
調査期間や調査時間に比例して料金が変動するのが時間料金制、はじめに調査期間や調査人数などが決められたパッケージ料金が用意されているのがパック料金制、成功によって価格が変動するのが成功報酬制です。
人探しの場合、ほとんどの興信所で採用されているのは、成功報酬型です。
人探しと浮気調査では、料金システムが異なることが一般的です。
人探しの場合は対象人物を見つけられるかどうか、成功の可否を確認しやすいため、多くの興信所で成功報酬型を採用しています。
この料金システムでは、特にふたつのことに注意してください。基本料金の内訳と、なにをもって成功とするのかのふたつです。
Point.1 基本料金とは?
基本料金には通常、調査にかかる人件費と諸経費が含まれています。
ただし、興信所によっては経費が含まれていない場合もあります。
これは、とても重要なことですから、基本料金のなかに一切の諸経費が含まれているかどうかを、しっかりと確認するようにしてくださいね。
興信所によっては、実際に調査をしてみなければ、どのくらい経費がかかるのかわからないからと、後日請求するところもありますが、注意が必要です。
実際にかかった金額よりも、多額の経費を請求してくる悪質な業者もあるからです。
料金のトラブルを避けるためには、基本料金と成功報酬をあわせた見積額以上に、追加料金が一切かからないことを確認して、契約書に明記されていることを確認したほうがよいでしょう。
はじめから、見積額以外の追加料金は一切かからないことを宣言している興信所であれば、安心度が高くなります。
Point.2 なにをもって成功とするのか?
もうひとつ注意すべきポイントは、成功報酬の「成功」とは具体的になにを指すのか、という問題です。
契約書には、成功の具体的な内容について必ず明記されているはずですから、しっかりと確認するようにしてください。
良心的な興信所ではありえないことですが、悪徳業者になると、あえてミスリードを誘うような文面にしていることがあります。
たとえば、「対象人物の現在の住所を突き止めること」と書かれている場合、特に気にかけることもなく、契約書にサインすることが多いかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
人探しをする目的は、その人物と会いたいからですよね?
でも実は、「対象人物の現在の住所を突き止めること」と、対象人物に直接会えることとは、必ずしもイコールで結ばれてはいません。
戸籍や住民票などの公文書では、たしかに現在の住所になっているけれども、すでにそこには住んでいないことなど、よくあることです。
また、はじめからだまそうとする悪徳業者の場合、適当なアパートの空き部屋の住所を報告してくるかもしれません。
その場合は、当たり前ながら、そこへ行っても誰も住んでいません。文句を言っても、その住所が現在の住所に間違いがないと言い張られると、なかなか反論できるものではありません。
こうしたトラブルは、契約書に書かれた成功の定義が、あいまいなために起こります。
トラブルを避けるためには、より具体的に成功の中身を決めておくことです。
たとえば、「対象者がそこに住んでいると家族が確認できること」と付け足しておけば、トラブルを未然に防ぐことができます。
なにをもって成功とするのかを、具体的に契約書に書くようにしてください。
難易度によって料金は異なる
人探しを興信所に依頼する場合の料金は、「基本料金+成功報酬」がもっとも標準的であることを紹介しました。
では、実際に基本料金と成功報酬がいくらぐらいかかかるのか、気になりますよね。
実はほとんどの興信所では、その案件の難易度によってクラス分けをしています。クラスの分け方は興信所によってまったく違いますが、一例をあげると、こんな感じです。
プラン | 基本料金 | 成功報酬 |
---|---|---|
A | 8万円 | 7万円 |
B | 15万円 | 10万円 |
C | 30万円 | 15万円 |
D | 50万円 | 30万円 |
E | 80万円 | 50万円 |
この料金表は、あくまで一例に過ぎません。クラス分けの基準については興信所によってまちまちです。
先に所在調査と行方・家出調査について紹介しましたが、上記の例でいえば所在調査がABランク、行方・家出調査がCDEランクになります。
それぞれ難易度によって、異なる料金設定がされています。
簡単な所在調査の場合は、興信所によっては10万円以下の料金設定をしているところもあります。
興信所によって人探しの料金はまちまちですが、相場を抑えておけば高いのか安いのか、大まかに判断できるようになります。
難易度でどうして料金は変わるの?
難易度によってなぜ料金が変わるのかといえば、難易度が上がることで、調査にかかる費用がどうしても増すことになるからです。
興信所の調査費用の大部分を占めるのは人件費です。
難易度が上がる調査では、多くの調査員を一度に動かす必要も出てきます。聞き込みなど、情報収集の効率を高めるためには、調査員の数が成否を分けることも多いのです。
また、行方・家出調査では時間が経てばたつほど、発見は難しくなります。成功率を高めるためには、効率よい情報収集が欠かせません。
難易度が上がるにつれて、調査に必要な調査員の数と、調査時間が増えることになるため、調査費用は高くなるのです。
では、調査の難易度はどのようにして判断されているのでしょうか?
調査の難易度は、主にふたつの要素によって決まってきます。
1. わかっている情報の量と質
対象人物について、どれだけの情報がわかっているかによって、調査の難易度は変わってきます。
名前しか手がかりがない状況よりは、名前と電話番号・勤務先など、対象人物についての情報が多ければ多いほど、探しやすくなります。
情報さえ多ければ、興信所のネットワークを用いることで、あっと言う間に居所をつかめる可能性さえあります。
ただし、情報が多いといっても、なんでもかんでも多ければよいわけではありません。情報の質も大切になります。
たとえば、ネットで知り合った人にお金を貸したところ、急に連絡が取れなくなったため探してほしいといった案件の場合、その対象人物の名前や年齢・メールアドレス、おおよその所在地・勤務先などがわかっていたとしても、その情報の質はけして高いものとはいえません。
それらの情報は対象人物から一方的に与えられたものであり、真実ではない可能性も高いためです。一見すると情報が多いように見えても、プロの視点から見て信頼できる情報ではないと判断されることで、難易度が高いと見なされるケースもあります。
さらに情報の質は、時が経過するごとに劣化することにも注意が必要です。どれだけ優れた情報であっても、古くなれば価値は落ちます。
手持ちの情報の量と質によって、調査の難易度は大きく違ってきます。
2. 対象人物の現在の状況
情報の量と質と並んで、調査の難易度を大きく左右するのは、対象人物の現在の状況です。
初恋の人や、古い友人、昔の恩師や上司などは、現在も普通にどこかで暮らしているはずです。
普通に暮らしていれば、居所を隠すようなことはしていないため、調査に支障は出ません。興信所のネットワークを活用することで、それほど時間をかけたり、調査員の手を借りなくても目的を達成できるため、難易度は下がります。
一方、対象人物が見つかることを恐れて隠れている場合は、住所を転々としていることが多く、手がかりを残さないように注意しているため、あとを追いかけるにしてもたいへんです。
このような場合は、調査の難易度も上がります。
ここまで、人探し調査を依頼する際の興信所の料金を中心に、気をつけた方がよいポイントについて紹介してきました。
人探しは興信所の調査能力の高さによって、結果に大きな違いが生じます。できるだけ調査能力が高く、信頼できる興信所を選ぶようにしてくださいね。