契約書ひとつで、トラブルのほとんどは防げる
興信所に調査を依頼する際には、興信所との間に契約書を交わさないといけません。
契約書は探偵業法で定められていることですから、法律上の義務です。どんなささいな調査であっても、興信所には契約書を交わす義務があります。
そこで、契約書を交わす際に気をつけたほうがよいことについて、まとめてみました。
興信所とのトラブルは、しっかりした契約書を交わすことで、そのほとんどを防ぐことができます。
調査事項
調査をするためには、何について調査をするのかをはっきりさせる必要があります。
契約書には調査事項について、できるだけ詳しく書くようにしましょう。
たとえば、浮気の調査をするにしても、単に「浮気調査」とか「尾行」とか書くだけでは不十分です。
もっと具体的に、なにを調査するのかを記載するようにしてください。
たとえば浮気調査であれば、浮気の証拠を集めることはもちろん、相手の女性の名前や住所など具体的に調査を依頼したい項目をあげて書き込みます。
でも、名前や住所以外にも、実際にはもっと知りたいことが出てくるはずです。相手の年齢・生年月日・勤務先・家族構成・携帯番号などなど、とにかく具体的に列挙するようにしてください。
調査項目にあげられていないことを追加で知りたくなると、別途調査費用がかかることが普通です。「勤務先ぐらい当然調査してくれると思っていたのに……」と後悔してもあとの祭りです。契約書に書かれていない項目について調査する義務は、興信所にはありません。
はじめによく考えて、調査を依頼するようにしてください。
解約手数料
契約を交わしたとしても、なんらかの都合で契約をキャンセルすることもあるかもしれません。途中でキャンセルした場合に発生する解約手数料については、きちんと確認しましょう。
調査が始まる前と、始まってからでは解約手数料が異なることが一般的です。
あとからトラブルにならないように、解約手数料についてもしっかりと契約書に盛り込むようにしてください。
料金についての詳細
どういったときにどのような料金が発生するのか、契約書には書かれています。料金はあとからもっともトラブルになりやすい項目ですから、しっかりと確認するようにしてください。
成功報酬であれば、なにをもって成功とするのかについて具体的に書かれているかどうかをチェックしてください。
たとえば単に、「浮気の証拠収集」と書かれているだけでは、あとからトラブルになることがあります。
浮気の証拠写真にしても、本人かどうかはっきりと特定できなかったり、浮気の現場といえるかどうか微妙なものでは困ります。
しかし、契約書に「浮気の証拠収集」としか書かれていないと、興信所が証拠と言い張るものをこれではダメだと言い返すことは、けっこうたいへんです。
こうしたトラブルを避けるためには、予め「裁判で認められる程度の浮気の証拠収集」と契約書に記載しておけば安心です。
家出人の調査にしても、「現在の住所を突き止める」と書くだけでは不足です。書類上はその住所にいることになっていても、実際に対象となる人物がそこに住んでいなければ意味がありません。
「現在の住所を突き止め、対象者がそこに住んでいると断定できること」と記載しておけば、このようなミスを防げます。
さらに、「対象者がそこに住んでいると家族が確認できること」と書いておけば、より安心です。家族が確認するまでは成功していないことになるため、成功報酬を払う必要はありません。
なにをもって成功報酬とするのか、具体的に書くようにしてください。
さらに確認しておきたいのは、今回の調査内容についての料金が提示されているのであれば、後から追加で請求されることがないことを、契約書に記載することです。
興信所によっては、当初の説明と違って、あとからさまざまな費用を請求するところもあります。このようなことを未然に防ぐには、契約書を交わす段階で後請求がないことをたしかめ、契約書に反映させるべきです。
そうすれば、後日なんらかの請求を受けても、契約書を盾に支払いを拒否できます。
なんにせよ、口約束はなんの意味もありません。打ち合わせの段階で了解がとれたことは、すべて契約書に落とし込むつもりで、契約書をよく確認してください。
契約書に盛り込まれていない約束事があれば、それを契約書に記載するように請求することです。契約書さえきちんと作られていれば、のちのちのトラブルのほとんどは未然に防げます。